平安神宮では、神社式をして初めて新郎家と新婦家が一つになると捉えています。そのため挙式で読み上げる誓詞についても、まずふたりの旧姓から読み上げます。誓詞は「これからふたりは結婚をして、幸せになります」という内容をしたためたもの。奏上後はまるめて箱に入れ、記念品として新郎新婦に渡されます。神社から渡される記念品には他に、三々九度で使用した平安神宮オリジナルの素焼きの杯や神棚に飾るお札も。新居に持ち帰ったら、南向きか東向きの、目線より上の場所に飾りましょう。本格的な神棚がないのであれば手持ちの衣装ケースの上でも構いません。昔ながらの床の間と形こそ違えど、今のふたりに合ったスタイルで、自宅の中に一カ所、かしこまった神秘的な場所を設けます。何かに行き詰ったり迷いが生じたりした時、その前に立ち、手を合わせる。そうすることで、ふと我に返り、気持ちを落ち着かせることができるでしょう。
世の中が刻々と変わっていく中で、同じことを同じ形で続けてゆく。それは大変なことです。人は、いま自分が持っているものを当たり前だと思いがちですが、命には終わりがあります。新郎のご先祖がいて、ご両親がいて新郎がいる。新婦のご先祖がいて、ご両親がいて、新婦がいる。ただ生きている、それだけでも“有り難い”こと。そして、今を生きるふたりが結婚をすることで、ふたりは過去から未来へ命を繋ぐ担い手になります。神社に来られる皆さんは「幸せになれますように」とお願い事をする方が多いでしょう。しかし、そこであえて「今、存在していることに“ありがとう”と言えますか?」と問いたいのです。感謝の気持ちを持ち続けるためにも、結婚式の一日だけではなく、人生の要所を迎える度に神社に足を運んでほしい。いち崇敬者として、平安神宮と関わりのある人になってほしい。神前式から始まるご縁を平安神宮は大切に考えています。
結婚するということは、ふたりが一つの新しい家庭を持つということ。新郎と新婦がそれぞれ一人の自立した大人となり、社会を担う一員となることです。そのことに気づくきっかけの一つが神前式であり、神社を訪れる度に初心に返ることができるというのも神前式の大きな魅力なのです。
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