平安神宮の神様として最初に祭られたのは桓武天皇(かんむてんのう,天平9(737)年~延暦25(806)年)です。明治28(1895)年、京都の人々は桓武天皇の功績を讃え、京都の祖神様としてお祀りすることを決意しました。桓武天皇は天応元(781)年、40歳代の若さで第50代天皇として即位しています。「泣くよ鶯、平安京」と言われるように、平安京が完成したのは延暦13(794)年のこと。その翌年、桓武天皇は大極殿において百官の拝賀を受け、平安京を開かれました。平安神宮は比較的新しい神社ですが、その名称として使われている「平安」は平安京から取られています。また平安神宮に限らず、神職が日々唱えるお祈りに「たいらけく、やすらけく」という言葉があるというのも、平安という言葉の素晴らしさを今に伝えています。
平安京最初の天皇が桓武天皇なら、最後の天皇は孝明天皇(こうめいてんのう,天保2(1831)年~慶応2(1867)年)です。孝明天皇は36歳で早世した年若い天皇でしたが、10代半ばの頃に第121代の天皇として即位して以来、しっかりと世の中の移り変わりを見極め、明治維新の基を開かれました。「さまざまに泣きみ笑ひみ語りあふも国を思ひつ民おもふ為」という歌が趣深く響きます。孝明天皇は明治天皇の御父宮にあたるため、平安神宮が創建された明治28(1895)年当時、まだまだ在位中の記憶が新しく、合祀の声が上がりながらも、お祀りするまでには至りませんでした。合祀の夢が叶ったのは昭和15(1940)年10月19日。皇紀2600年に当たる年まで待たねばならなかったのです。
平安京創始の桓武天皇と最後の孝明天皇をお祀りしたことで、平安神宮は“日本文化の祖神様”として、京都市民のみならず日本全国、ひいては世界各国からも崇敬されるようになりました。平安神宮で神前式に臨むカップルには“開運”の御利益があると言い伝えられています。
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